【ドラマ】ザ・シェフの感想文など

はじめまして。

このブログは元々、2021年1月22日に観に行った舞台『チョコレートドーナツ』の感想を書くために開設したものですが、文章をまとめるのに非常に時間を要してしまい、UPするタイミングを逃して途方に暮れていました。そんな矢先、ひょんなキッカケで見ることになった1995年放送のドラマ『ザ・シェフ』にいたく感動し、とりあえずこの熱い想いやときめきがフレッシュなうちに文章を書き残してみようと思い、筆を滑らせているうちにこのブログの存在を思い出し、今回のタイミングで記事をUPすることとなりました。

なお、この文章を読む上で頭に入れておいていただきたいのは、あくまでもこれは“ヴィジュアル系という非日常”を日常的に愛しているオタクが、令和以降に少年隊にハマり、このドラマの主演俳優である東山紀之さんの主演作品を他にもいくつか見た上で書いた文章であり、『このドラマを見てこんな意見を持つ人もいるんだな』と思う程度に留めていただきたい、ということです。わたくしは今回書く記事のドラマのリアタイ世代ではありますが、リアタイはしておらず、少年隊は好きですが私個人は生粋のアイドルファンという訳ではありません。そして、これは少年隊のメンバーの誰かを無条件にただカッコイイと叫んでいる記事ではありません。めちゃくちゃ面白いドラマを見てしまった1人のバンギャの意見として、軽く読み流していただけると嬉しいです。

さて、本題に入ります。

まずはドラマ『ザ・シェフ』の感想文を書き進めるにあたり、ドラマの基礎知識を載せておこうと思います。しかし、私のように『実はこの作品持っててこれから見ようと思ってたのに!』という稀有な人もいるかもしれないので、今回はネタバレしない程度の内容を書き散らかすくらいにしたいと思います。ご了承下さい。

それでは、ドラマの基礎知識を紹介します。

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■『ザ・シェフ』について■
『ザ・シェフ』は1995年10-12月の夜に日本テレビで放送された、同タイトルの漫画を原作に持つテレビドラマです。しかし、ドラマの内容は原作と大きくかけ離れており、かなりオリジナリティー溢れる内容とのことです。Wikipedia先生いわく『設定やストーリーはテレビドラマ独自のものへ変更されている。「料理界のSFドラマ」と名乗り、常識外れな展開となっていた。』とのことです。

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料理界のSF...?
どういうことなの...???

ドラマを見る前に作品の基礎知識を軽く頭に入れておきたい人間なのですが(わたしが)、Wikipedia先生で予習しようと思ったらいきなりつまずきました。『料理界のSF』と聞いてもわたしの想像力が働かなさすぎて、これからドラマを全力で楽しめるのか、いささか不安になってしまいました。

まずここで言うSFとは、つまるところ何を指すのでしょうか。そもそもSFとは何でしょうか。宇宙人が出てくる話のことでしょうか。SF=非日常、ということは分かりますが、いざ説明しろと言われると言葉に詰まってしまいます。それは私がSFを正しく理解していないからですね。

そこで、またしてもWikipedia先生のお力を借りることにしました。

Wikipedia先生によると、『サイエンス・フィクション(英語: Science Fiction、略語:SF、Sci-Fiエスエフ)は、科学的な空想にもとづいたフィクションの総称。メディアによりSF小説、SF漫画、SF映画、SFアニメなどとも分類される。日本では科学小説、空想科学小説とも訳されている。』とのことです。しかし、わたしは頭がよくない上に想像力も乏しいので、なんのことやらさっぱり分かりません。

そこで他の辞書を見てみようと思い、weblio辞典で調べてみたところ『(英 science fiction の略) 科学的知識をもとにした、空想的な筋立ての小説。フランスの大衆作家J=ベルヌ(一八二八‐一九〇五)に始まり、アメリカで普及し、文学上の一分野に発展。科学小説。空想科学小説。』だそうです。こちらの方がイメージが膨らみますね!つまりSFとは『科学的知識をベースに持ちながらも、非科学的な演出をするストーリー』ということになるのでしょうね。たぶん。

『ザ・シェフ』は料理を扱っている作品なので、ここでいう『科学的知識』とは料理のことを指すのだと思われます。『料理は科学だ』というタイトルの本もありますよね。つまり「料理界のSFドラマ」を名乗ることは、料理という科学をモチーフにしつつ非科学的なアプローチを繰り広げるドラマだ、ということを宣言している訳ですね。なるほど...分析することで、段々このドラマの核心が見えてきた気がします。


それでは作品の方向性が分かり、不安な気持ちが和らいだところで早速ドラマを第4話まで視聴したのですが、第4話までの視聴で何となく理解したこの物語の基本的なストーリー展開と、主要な登場人物およびその基本スペックを紹介します。

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■ドラマの基本的なストーリー■
幻のシェフこと味沢匠が第3者から料理作成の依頼を受け、そのミッションを果たすために動こうとするも、味沢に執着する北村グループ(レストランチェーン店を展開している大手企業)の部下たちに毎回必ず邪魔されてしまい、味沢は追い詰められるも、仲間である泉や太一の力を借りながら何とかしてミッションを果たそうと奮闘する料理界のSFドラマ。基本的には1話完結型。


■味沢 匠(あじさわ たくみ)■
このドラマの主人公の青年。
あらゆる第三者からの『料理を作ってほしい』という依頼を受けて仕事をこなす、フリーランスの孤高の料理人。ある意味、必◯仕事人。
巷では“幻のシェフ”と呼ばれている。
仕事を依頼するために味沢を呼び出す方法は独特で、一言で表すなら超非科学的でツッコミ所満載。しかし、その方法を取ることで味沢は確実に依頼者の元に現れる。そして、仕事を受ける際には必ず法外な報酬(一定の金額)を条件としている。

パーソナリティーに謎が多く、ポーカーフェイスで秘密主義のはずなのに、何故か自宅のセキュリティーはゆるゆるで、あらゆる不法侵入を許す。むしろ、鍵かけてますか?と聞きたくなる。その様はまるで、鍛えた抜かれた肉体を誰かに見てもらいたくて脱ぐのが好きで常に胸をはだけてる人みたいですね(別にこれは特定の誰かを指している訳ではありません)。

料理の腕前に関する超人テクニックは第1話の味沢登場シーンのインパクトが強すぎて、以降はテクニック自体に驚くことは少なくなるが、話が進むにつれ、料理そのものではなく、料理を作るまでの過程等がどんどん過酷かつ過激になり、まるでSASUKEとか脱出ゲームを見ているような気分になってくる(たぶん間違ってない)。追い込まれた味沢がどうやってピンチを切り抜けミッションを成功させるのか、ということにスポットが当てられるようになる。こうなると、もはや料理はサブテーマであり、料理という題材は話の軸にしつつも『味沢という非日常をいかに美味しく調理し、それを視聴者に提供しておなかいっぱいになってもらえるか』ということがメインテーマになってくる。

人が食べる料理は作るが、第4話までに味沢自身が食事をしているシーンはない。なぜか命を狙われがち。愛車はオープンカー。愛用の包丁類をトランクケースのようなものに収納し、持ち歩いている。愛想はないが、顔面がいいことに定評がある。


■泉(いずみ)■
位置的には“味沢に一番近い女性”だが、ヒロインというよりはこのドラマにおけるツッコミ役であり、味沢と視聴者の間をつなぐメッセンジャー的な存在でもある。本職は週刊誌の記者だが、ひょんなことから味沢に急接近することとなり、そのままチーム味沢の一員となる。メインキャスト3人の中では唯一の常識人であり、携帯電話を所持しているのも泉だけ(と思われる)。実は育ちがよく、父親の仕事の影響を受けて料理の知識も豊富だが、泉の生い立ちが味沢の経歴と深く関わっていることが後々明らかになる。味沢の暴走に、視聴者が置いてきぼりになりそうになるとナイスアシストしてくれるのがだいたい泉。味沢も太一も物語をかき回す存在だが、泉が居てくれることでなんとか物語が破綻せずに進んで行ける...という場面が多々ある(と私は感じる)。味沢のことは“味沢さん”、太一のことは“太一くん”と呼ぶ。

■太一(たいち)■
味沢と出会った時は敵対する立場だったが、劣悪な環境をものともせずに、目の前で一人華麗に料理を作り上げる味沢に心を奪われてしまい(いろんないみで)、味沢に土下座して弟子入りを懇願するようになり、ついに実力行使で押し掛け女房化してしまった料理人見習いの青年。実は味沢と同じルーツを持っている。それゆえ、味沢に一番近い第三者であり、物語のヒロイン的な存在でもある。そして、いつも味沢にしっぽを振って足元にまとわりついているワンコ的な存在でもあり、基本的には味沢の忠犬。はっきり言ってかわいい。そして物語のムードメーカーでもあり、そのまっすぐで純粋な性格が時に冷徹な味沢の心を大きく揺るがすこともあるとか、ないとか...。

味沢が仕事で料理をしている時は泉と共にアシスタントとして立ち振る舞う。将来は味沢のようなシェフになりたいらしい。味沢のことを“先生”と呼び、泉のことは“泉さん”と呼ぶ。

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さて、基本のストーリーとメインキャスト3人の紹介が終わったところで、このドラマのどの辺がSFなのか、もう少し真面目に考えてみることにします。

味沢が依頼者に呼ばれて登場するシーン(白いオープンカーに乗って現れるやつ)は毎回SF風の音楽が流れます。そこはかとなくSFっぽいです。まるで宇宙人が登場したかのようなワンシーンです(味沢を宇宙人に見立てることはあながち間違ってないけど)。

しかし、このドラマがSFを名乗るのは別の理由があるからではないか、とも思っています。

それは、このドラマの内容が非日常すぎて、ぶっ飛びすぎてるがゆえ、頭から『このドラマはSFですよ』と名乗ることでいちいち『よいこは真似しないでね』とか『このあとスタッフが美味しくいただきました』とか『この行為は犯罪です』という定型文句を物語の進行中に挟む必要がなく、それらの定型文句が入ることによって現実に引き戻されることがないため、ハナから『あなた達がこれから目にする一部始終はSFですよ』と宣言することで、視聴者は安心して最後までドラマの世界観に没入したまま一気に見ることができる、ということです。だからなのかストーリーはどれもスピード感に溢れ、その演出は料理にとって無駄なことだらけのはずなのに、有無を言わさないスピーディーな話の流れに圧倒され、味沢の顔面に圧倒され、展開が早く、見ていて実に爽快です。

元々主演俳優の中の人の存在自体がSFというか、非日常感がはんぱないので、それゆえにこのドラマはSFだと言い切っても的はずれな感じはしません。それゆえSFの解釈はおおむねこれで合っているかな、と思われます。

SFというのは広い意味で『人間の能力を拡張してあり得ない状況を演出すること』だと思います。そしてこのドラマはその『人間の能力』のうち、料理を作る能力に着目したドラマ...のはずなのですが、どうやら回を追うごとに料理を作る能力以外にもあり得ない展開が次々と訪れ、またそれをあり得ない方法で切り抜けて行く味沢たちの言動の一部始終がもはやSFと化してます。このドラマは視聴者の『あり得ない!』という突っ込みを作り手が煽っている訳だし、だからこそ見る側も素直に『あり得ない!』と大声で渾身のツッコミを返してやればよいのです。見ていて安心してコール&レスポンスが楽しめる、とても良心的なエンタメ作品だと思います。

このドラマは、味沢がミッションクリアの前に立ちはだかるあり得ない展開に対して、妥協することなく真正面からぶつかって行き、ベタな逆境も粛々と受け入れ、どんな状況でも文句も言わずに、誰を責めるでもなく、ただ黙々と前に進もうとする姿が眩しくて快感なのです。

味沢は過去が訳アリゆえに自分のことを積極的に話そうとせず、それゆえ性格が偏屈で、一見すると『嫌なやつ』なのですが、料理のことになるとめちゃくちゃ真っ直ぐでポジティブです。味沢は無表情のポーカーフェイスだし、何考えてるか全然分からないけど、何が何でも目的(依頼された仕事の成就)を果たそうと奮闘するし、依頼人が未成年の子供であろうと依頼された仕事は必ず最善を尽くして最高のパフォーマンスを披露します。『もうダメだ』『今回ばかりはミッション成功不可だ』と視聴者が手に汗握る展開が何度も訪れますが、何度も味沢は生命を脅かされますが、(これ料理のドラマですよね?なぜいつも味沢さんは殺されかけているの...?)その度に味沢は多少焦る素振りを見せつつもクールに、華麗に、決して止まることなく、一切の妥協を許さず、かなり強引かつギリギリアウトなやり方でピンチを切り抜け、最後の最後まで自分のパフォーマンス力を最大限に発揮しようとする姿に、見ていて割りと本気で痺れます。そしてビジュアルが終始イケ散らかしている味沢はただただ本当に美しい。必ず勝負時に流れる挿入歌の『Oh!!』もテンションが上がります。DJで言うところの、フロアがブチ上がる曲です。あのイントロはまるで勝どきの声のようにも聞こえます。

たたみかけるような非日常描写の連続の中で、味沢の美しさには一切のフィクションがなくて、キラキラと眩しくて、その対比が面白くて、何とも言えない味わい深いドラマです。ハッキリ言って深夜ドラマ枠のようなノリでありながらも、豪華なキャスト、華やかなセット、ぶっ飛びすぎたストーリー展開に、この時代のドラマにかける製作陣の尋常ではない熱量が伝わってきます。

日常の等身大に飽きた人には是非見てほしい作品なのですが、一切の日常を忘れてストレス発散したいひとにもオススメです。多くの人に見てもらってキャッキャしたいので、ソフトの再販が難しいのなら、是非とも配信化をお願いいたします...m(_ _)m