脳内ヴィジュアル系

好きなもの(主に音楽)への想いや出来事を、後日見返すための記録用として書いてます。

【記録用】佐野元春さんの『エンタテイメント!』がすごい

ある日、ダイソーで買い物をしていたらふと耳馴染みのあるメロディーが聴こえてきました(おそらく有線放送)。

 

ちょっと懐かしい90年代後半テイストなギターサウンドにドキッとして立ち止まり、コレひょっとしてピロウズの新曲かな、と思って耳を傾けていたのですが、聴こえてきた声は明らかに山中さわお氏のそれではありませんでした。でも、声や歌い方がすごくいいな...何ていうバンドなんだろう...と思い、集中力総動員して歌詞を聞き取り、歌詞でググってみたら(便利な世の中になりましたよねほんと)何と、佐野元春さんが2020年にリリースした『エンタテイメント!』というシングル曲(この曲が入った『ENTERTAINMENT』というタイトルのアルバムもある)ということが判明し、とても驚きました。

佐野元春さんといえばベテラン大御所ミュージシャン&ボーカリストで、別に新曲とか出さなくても過去のヒット曲の印税で一生いきていけんじゃね?と思いがちでしたが、コロナ禍でも積極的に活動していて、しかもこんなカッコイイ新曲までリリースしてたなんて、本当にビックリしました。

そしてふと思い出したのです。この雑誌のことを。


そう。

わたしはすこし前に少年隊の楽曲の素晴らしさに気付いてマイペースにメンバーの動向を追っているのですが、そんな中で購入した雑誌の表紙が佐野元春さんだったことを、この期に及んで突然思い出したのです。しかもこの記事、今回惹かれた『エンタテイメント!』のリリース時の事にも触れたインタビューでした。うおおお!あのときこの雑誌を買った自分よありがとう!あのときこの雑誌に載ってくれた東山さんありがとう!と暑苦しく感謝しつつ雑誌のページをめくりました。

曲に魅せられた上で改めてインタビューを読んでみたら、佐野元春さんのエンタメに対する熱い想いがひしひしと伝わってきて部屋の床の上で大の字になって寝転がるなどしました。

インタビュー記事を通して思ったことは、佐野元春さんってものすごくフットワークが軽いし、経験値が高いのにそれに縛られず過去の栄光に頼らず『はい次いこう』ていう考え方だし、柔軟かつポジティブだし、パンデミックで色々自由に動けなくなってもリモートでのレコーディングを積極的に行ったり自身の40周年記念を盛り上げる方法やコンサートを安全に開催する方法を模索する等、アーティスト活動を止めなかった姿勢がめちゃくちゃかっこいいなと思いました。そして『エンタテイメント!』がコロナ禍前に作られた楽曲だと知ってビックリしました。まあ普遍的な歌詞といえばそうなのかもしれませんが、パンデミックの最中に刺さりまくる歌詞ですよね。そしてシティー・ポップへの想いや、アイドル・ポップ全盛期の今ロックバンドの存在意義とは?みたいな質問に対して短い言葉でサラッと自身の意見を述べる姿もカッコイイなと思いました。

このシングル曲『エンタテイメント!』って誰かに語りかけているような歌い方をしている箇所がちょいちょいあるのですがこういう『話すように歌う』の、わたしは結構好きなのです(他にパッと思い付くところだとオーケンさん)。インタビュー記事を読むと昔からラップを楽曲に取り入れたりもしていたそうで、曲のメロディーからわざと逸れたところに歌を乗せることに慣れているのかな...こなれ感が全然ちがうな...と思うなどしました。歌声がすごく自由で、それが歌詞にもすごく合ってるんですよね。

コロナ禍になる少し前からわたしは生活が激変しライブに行く機会が減ったのですが、生歌を聴かなくなると『歌が上手い』ということがどういう状態を指すのかいまいちピンとこなくなってしまいました(歌唱力があることや音痴ではないことも『歌が上手い』んだろうけどそれってただメロディーを正しくなぞっているだけじゃね?カラオケはそれでいいのかもしれないけどアーティストの表現としての『歌が上手い』はそうじゃないよね...と思ったりはしてますが『歌が上手い』と感じるかどうかなんて個人の好みによるところがデカいと思ってます)。でも佐野元春さんの曲を聴いていると『普遍的な“歌が上手い”ってこういうことですよね!』と忘れかけていた何かを思い出させてくれました。

『エンタテイメント!』って佐野元春さんのエンタメに対する情熱の歌でもあり、エンタメを諦めないという意思表示でもありつつ、エンタメに向かってエンタメを激励している歌でもあるのかな?と感じました。『もう泣かなくていい』の箇所なんて特に、コロナ禍に居場所を失いつつあるエンタメに向かって励ましているように見えました。素敵な歌詞ですよね。ほんとかっこいい。

という訳で、佐野元春さんってお名前は知っているけどどんな曲を作ってどんな歌を歌っている人なのか全然知らなかったわたしですが、知れば知るほど『こんなロックな人が日本にいるなんて!そしてそれを知らなかったなんて!』と無知を恥じました。ロックとかバンドが好きな人なら押さえておくべき人ですよね...猛省。

今は例のダイソーで知った『エンタテイメント!』をサブスクでガンガン聴いてます。同曲が入ってるアルバムもちゃんと聴きたいのですが、今はシングル曲の方で大満足してしまって、なかなか次に進めません(でも年内にはアルバムも聴きたいと思ってます)。

あと、今回のインタビュー記事を読んで、佐野元春さんが古巣のソニーミュージックと再タッグを組んだ話がすごく興味深かったです。再タッグを組んだ理由のひとつにソニーは権利をきちんと管理してくれることを挙げていました。最近ハマっているプリンセス プリンセスもソニー協力の元、今年に入って『メンバーが出会って40周年記念』のアニバーサリー企画を色々とやってくれています。昔のライブ映像作品を集めてボックスにしたものをリリースしたり、昔のライブ映像を映画館で上映したり。佐野元春さんもデビュー40周年記念としてベスト盤やボックスセットをリリースしたそうですが、わたしの好きな某アーティストのレコード会社もソニーみたいな楽曲の管理をしてくれるところだったらこんな風に昔の楽曲や映像を使ってアニバーサリーイヤーを盛り上げてくれたのかしら...と思うなどしました(切ない)。余談ですけどね。